食の西洋化が進む現代の日本。世界各国のおいしい食事をとることは「さまざまな食を楽しむ」というメリットがある反面、「成人病」や「アレルギー」といったデメリットがあるのも事実です。なかでも食の西洋化が原因ではないかと考えられているアレルギー疾患の増加は、今後、我々の健康と食生活を考えるうえで大きな課題です。今回は「遅延型アレルギー」に焦点を当て、自身の食生活を振り返ってみましょう。
遅延型アレルギーとは?
一般的にアレルギーにはIgE抗体によって起こる「即発型」と、IgG抗体によって起こる「遅延型」があります。即発型のアレルギーは、アレルゲンと呼ばれる抗原に触れるとすぐに反応が現れます。反対に遅延型アレルギーは、アレルゲンと接した数時間〜数日後に反応が発症することもあり、「隠れアレルギー」とも呼ばれています。
今回注目する遅延型アレルギーですが、実は本人が気づいていないケースも多いのです。上記で述べたように、発症に時間がかかることと、遅延型アレルギー自体の知名度が低いことがその要因となっています。疲労、じんましん、湿疹(しっしん)、頻尿、関節痛、むくみなどの慢性症状を自覚している人のなかには、実はこの遅延型アレルギーが原因でこういった症状が起こっている場合があります。「健康のために、毎日同じものを食べている」「大好きな食材があり、高い頻度で食べている」といった項目が当てはまる人は、その食材が症状の原因になっている可能性も高いため、一度、じっくり自分の食生活と症状の関連を確認してみましょう。
食の西洋化が体に与える影響
一説によると、遅延型アレルギーが起こる原因のひとつとして、食の西洋化が影響しているともいわれています。そこには、日本人の体は一般的に、穀物を消化しやすいように腸が長いということが関係しているのです。乳製品を含む肉や脂肪等動物性の食品は腸の中で腐敗しやすいため、こうした食材を食べてきた西洋人の腸は短いといわれています。肉や乳製品は、昔から日本人が食してきたものとは異なり、時代とともに日本人が一般的に食すようになったものです。特に乳製品に関しては、消化するための酵素が日本人には遺伝子的に少ないといわれており注意が必要です。
肉や脂肪等の食材が腸内に長時間滞在してしまうと、腸内で食材が腐敗して毒素がたまり、便秘の原因になります。日本人の体が近年の食生活の変化についていけず、腸内コンディションを悪化させてしまうのです。
また、ダイエットに挑戦してもなかなか痩せにくい人も、実は遅延型アレルギーが原因となっている場合があります。カロリー制限や運動をしても、体重が落ちない……筋肉がつかない……こういった悩みも、実は腸内がアレルゲンによって炎症を起こしているからなのかもしれません。
食事はやっぱり「ひらがな」が良い
パスタ、パン、ステーキ、トンカツ……すっかり日本人の食生活になじんでいる食べ物のなかに、カタカナ名のものは思いのほかたくさんあります。しかし、こういった食物は、日本人の体に合わないとされる西洋の食材が含まれていることも少なくありません。あまり食べすぎると、体に負担をかけることになるということを、忘れないようにしたいものです。
もちろん、こういった食生活を完全に止めてしまう必要はありません。しかし、「日本人の体に合うものは、やはり日本食」という考え方を基本にして、おにぎり、おみそ汁、おそば、煮もの……といった、ひらがな(漢字)の食べ物を積極的に取り入れるようにしましょう。最近の食生活を振り返ってみて「洋食が続いてるな」と感じたら、今夜のメニューはひらがなで書けるものにしてみる、そんな小さなステップから始めていきましょう。
まとめ
本人に自覚症状が出にくい遅延型アレルギー。その原因のひとつと考えられているのは、食の西洋化です。旬の素材や昔ながらの食材をいかした日本の食文化の大切さを確認し、自分の食生活の見直しをしてみましょう。
ポイント
実は知らないだけで、あなたにも影響を与えているかもしれない「遅延型アレルギー」。その症状と食の西洋化がもたらす体への変化を学んでみましょう。