妊娠しやすい身体づくりには、毎日の生活習慣も大きく関わるといわれています。なかでも、気になるのが「ストレス」による影響です。ストレスがあると妊娠しにくいといわれますが、なぜそれほど影響してしまうのでしょうか? その理由のひとつに、副腎の働きがあります。女性ホルモンの分泌に関わる副腎の役割と、妊活中に取り入れたい副腎ケアについてお伝えしましょう。
ストレスが妊娠に影響するワケ
ストレスは、それだけでさまざまな不調を引き起こすものですが、妊娠への影響も少なくありません。ストレスがあると、体内ではさまざまなホルモンを出して、ストレス対処を行っています。そうした役割を持つのが「副腎」です。腎臓の上にある小さな臓器で、ソラマメ程度の大きさといわれています。
ストレスが続くと、視床下部から副腎に向けて、DHEAやコルチゾールと呼ばれるホルモンの分泌を促すよう指令が届きます。生命維持を優先する人体にとって、ストレス対処は最優先されるもの。ストレスが続くと、副腎の仕事が増えてしまい、副腎疲労を招くことにつながります。副腎疲労が起こると、副腎の機能が低下するため、ホルモンのバランスが乱れ、うつ病や心身の疲労を招くことにも。さらにここで問題なのが、女性ホルモンへの影響です。DHEAは、女性ホルモンの前駆物質(元になるもの)であり、副腎の機能低下が起きれば、女性ホルモンの生成も滞ってしまうのです。
副腎と女性ホルモンの大切な関係
副腎が分泌するDHEAは女性ホルモンの前駆物質とされ、代謝を経て女性ホルモンに変わります。本来、女性ホルモンのほとんどが卵巣で作られますが、裏側でサポートを行っているのが副腎というわけです。
女性ホルモンは、妊娠出産を正常に行うためには欠かせないもの。妊娠するためには、まず排卵を行い、受精をし、受精卵が着床しやすい子宮内膜を用意しておく必要があります。着床後は、流産や早産を起こさないように妊娠状態を維持させなければいけません。そうした働きのすべてに女性ホルモンが関係しています。副腎の疲労によって、女性ホルモンのバランスが崩れてしまえば、無排卵月経を招いたり、着床しにくい環境になってしまったりすることもあるのです。ちょっとしたことで乱れやすい女性ホルモンだからこそ、副腎をいたわることもとても大切なのです。
副腎をいたわる妊活を始めよう
女性ホルモンのバランスを整えるためにも、副腎に負担をかけない生活を心がけたいものです。副腎を元気に保つためのポイントを紹介しましょう。
甘いものやカフェインを避ける
甘いものやカフェインをとると、血糖値が乱高下しやすくなります。すると、体内ではインスリンというホルモンを分泌し、上がってしまった血糖値を下げて正常の値に戻そうとします。この作用には、副腎も関係しています。お菓子やコーヒー、紅茶、緑茶などの摂り過ぎには注意しましょう。
冷やさない工夫を
冷えは、身体にとって大きなストレスになります。鉄分・ビタミンBの欠乏や使いすぎにより血流が悪くなれば、体温の維持ができなくなってしまいます。また、腸内環境が悪くなると消化酵素が過度に使われてしまい、代謝酵素の出番がなくなってしまうことで、体が冷えてしまいます。ここでも、副腎が働き、なんとか血流をアップさせようとホルモンを出しているのです。冷たい飲み物や食べ物は避け、温かい服装で過ごしましょう。
鼻炎、皮膚炎、歯周病などの炎症は早目の治療を
炎症があるときに、病院で処方される薬として「ステロイド」があります。実はこのステロイドは、副腎で作られるステロイドホルモンを人工的に合成したもの。つまり通常、体内に炎症が起こると、炎症を抑えるために副腎がステロイドホルモンを作っています。したがって、炎症が長引けば、その分副腎への負担となり、機能低下につながるのです。気になる炎症があれば、早めの治療を心がけましょう。
妊娠しやすい身体づくりのために
妊娠に至るまでの身体づくりには、女性ホルモンを整えることがとても大切です。だからこそ、副腎を元気にすることも意識したいところ。ホルモンのバランスを整えるために、副腎に負担をかけない生活を心がけたいですね。
ポイント
妊娠しやすい身体づくりのために、副腎を元気にしましょう!