近年注目されている アミノ酸を取り入れたダイエット法。それは、カロリー制限や食事全体を減らすものではなく、アミノ酸を積極的に摂りながら脂肪燃焼を促してダイエット効果を高めるという方法です。では、なぜアミノ酸を摂ることでダイエットに繋がるのでしょうか? 美容だけでなく、健康にも大きく関わるアミノ酸の働きについて紹介します。
アミノ酸とは?
ダイエットだけでなく、アスリートや健康志向の方からも注目されているアミノ酸。これは、タンパク質が分解されたもので、カラダを構成する大切な栄養素です。髪や爪、皮膚といった表面的なものから、臓器、血管や血液、酵素、ホルモン、神経物質に至るまで、身体をつくる材料として使われており、健康維持には欠かせません。人のカラダは約20種類のアミノ酸で構成されており、そのうちの9種類は必須アミノ酸と言われています。必須アミノ酸は体内で作ることができないため、必ず食事から取り入れなければいけません。アミノ酸の母体となるタンパク質は、動物性の食材に多く含まれます。肉や魚、卵から摂取することができ、植物性食品では豆類に豊富です。とくに豚肉はアミノ酸バランスに優れており、ビタミンB1も豊富なので、おすすめの食材です。
なぜアミノ酸がカラダに必要なのか?
人間のカラダで水分の次に多いのが、アミノ酸を合成して作られるタンパク質です。つまり、頭の先からつま先まで、アミノ酸が使われないところはほとんどないといえるでしょう。
では、アミノ酸が不足するとどうなるのでしょうか?
例えば、必須アミノ酸のひとつであるトリプトファンは、神経伝達物質であるセロトニンを作るのに必要な材料です。セロトニンとは“幸福ホルモン”とも呼ばれ、リラックスをつかさどるホルモンです。そのため、トリプトファンが不足し、セロトニンが不足すれば、気分が落ち込みやすく、やる気の低下をもたらすといわれています。つまり、トリプトファンが不足すると、うつ病のような症状をひき起こしてしまうのです。
一方で、アミノ酸を十分にとれば、心身共に良い影響を与えてくれます。内臓機能が正常に働き、体力の向上につながります。また、アミノ酸はエネルギーを作るためにも大切な働きをしているため、正常な代謝を促して脂肪燃焼にも役立つというわけです。
アミノ酸を十分に摂るためにも、食事はタンパク質が豊富なメニューを意識したいもの。健康維持に必要なタンパク質量は、体重1kgあたり1g。つまり、体重50kgの方なら、必要なタンパク質は1日あたり50g程度です。50g程度なら食事から簡単に摂れると思いがちですが、実はそうでもありません。なぜなら、タンパク質は熱を加えることによって消化しにくくなり、結果として吸収率が下がるため、沢山摂らなければならないからです。例えばお肉の場合、加熱されると、100gから10g程度しか摂取できなくなってしまいます。一日50gのタンパク質をとるためには、500g程度のお肉や魚を食べる必要があるということです。
アミノ酸で脂肪燃焼アップ!
ダイエット時のアミノ酸の働きとして注目したいのがリパーゼの活性化です。リパーゼとは、すい臓や胃で分泌され脂肪分解に使われる消化酵素のこと。脂肪分をしっかり分解するためにも、アミノ酸のリパーゼ活性化効果には期待したいところです。とはいえ、実はアミノ酸をただ摂ればよいというものではありません。いくらアミノ酸をとってリパーゼを活性化させても、有酸素運動をして、脂肪の分解によって生じたエネルギーを消費しなければ、余剰分のエネルギーは再び脂肪として蓄積されてしまいます。有酸素運動によって体温が上昇するときにも、リパーゼは活性化することがわかっており、アミノ酸をとりながら運動をすることで、より高いダイエット効果が期待できるというわけです。
アミノ酸のなかでもリパーゼの活性に役立つのが、リジン・アラニン・アルギニン・プロリンの4種類。脂肪燃焼だけでなくさまざまな役割を持っています。
- リジン:タンパク質の吸収を助ける働きがあるほか、コラーゲンの生成、ホルモンの合成に関わるアミノ酸
- アラニン:エネルギーを作る働きを助け、新陳代謝を高め脂肪を燃やしやすくする
- アルギニン:免疫にもかかわるほか、成長ホルモンの分泌を促進させて代謝を高める
- プロリン:コラーゲンをつくる主要の成分。タンパク質を合成し、新陳代謝を促す
BCAAを味方につけて脂肪燃焼を促進
ダイエットに運動は欠かせませんが、ハードな運動はなかなか続かないという人も多いのではないでしょうか? そんなときに利用したいのが「BCAA」と呼ばれるアミノ酸です。BCAAは筋肉疲労を予防し、無理なく運動を継続するのに役立つといわれており、具体的には必須アミノ酸であるバリン、ロイシン、イソロイシンのことを言います。
脂肪燃焼効果を高めるためには、20分以上の有酸素運動が効果的とされていますが、長時間の運動をしていると筋肉疲労が起こりがちに。筋肉を動かすために使われるBCAAが不足してしまうことで、筋肉が疲れてしまうのです。
運動をする前にBCAAをとると、筋肉にエネルギー源として蓄えられ、筋肉疲労を軽減させることができます。運動による脂肪燃焼を助け、引き締まったボディラインを作るためにもBCAAを摂っておきましょう。BCAAである3つのアミノ酸は、他にもこんな働きがあります。
- バリン:筋肉を修復する働きだけでなく、美肌効果も期待できます。肌の張りを保つエラスチンの材料。
- ロイシン:筋肉を強化し、運動時の持久力を高める。ストレスを緩和する効果もあるとされています。
- イソロイシン:髪の毛の約80%を構成する。疲労回復効果に加え、肌や髪を健康に保つ役割も期待されています。
アミノ酸をとって、ダイエットしながら健康に
アミノ酸は脂肪燃焼に欠かせない栄養素。ただし、有酸素運動をしっかり行うことも大切なポイントです。日頃からタンパク質が豊富な食事を意識して、健康的なダイエットを行いましょう。
ポイント
毎日500gのタンパク質を意識すること。食材ではとくにアミノ酸バランスに優れた豚肉がおすすめ。ヒレステーキや豚もも肉の冷しゃぶにすると食べやすいですね。難しい場合は、サプリメントを利用して効率よくダイエットを楽しみましょう。