年齢を重ねるごとに気になる老化。女性にとって特に悩みがちなものに肌の衰えがありますが、実はその原因は腸の老化にあるかもしれません。腸が老けると、なぜ肌まで老けてしまうのでしょうか? その答えは、老化の原因となる「活性酸素」にあります。
老化の大敵「活性酸素」とは
私たちが老化していくのは、体をさび付かせる「活性酸素」が原因だと考えられています。老化の原因というと有害なもののように感じやすいですが、活性酸素とは、体内に侵入した細菌を攻撃するために利用されるもので、必ずしも体にとって悪いものではありません。
しかし、その量が増えすぎると、細菌だけでなく体の細胞にもダメージを与え、酸化させてしまいます。活性酸素が最初に発生する場所は大腸だといわれています。活性酸素が腸の細胞を傷つけると、傷ついた腸壁から腸内の毒素が体内へと流れてしまい、全身の細胞を傷つけてしまうのです。
酸化は、老化に加え、がんをはじめとした生活習慣病や老人性認知症などの原因にもなり、私たちの健康と美容に大きな影響を与えます。活性酸素はストレスや食事・生活習慣の乱れ、紫外線、喫煙、大気汚染などによって発生するため、必要以上に発生させないためにも食事や生活習慣に気を配ることが大切です。
ファイトケミカルが活性酸素から体を守る
食事をとるうえで心がけておきたいことは、酸化から体を守る力、つまり抗酸化作用を持つ食品をとることです。そこで注目したいのが、「ファイトケミカル」という物質です。ファイトケミカルは第7の栄養素ともいわれており、植物性食品の色素や香り、辛味、苦味、アクなどから発見された抗酸化力のある化学物質の総称です。例えば、トマトの赤い色素「リコピン」や、唐辛子の辛味成分「カプサイシン」なども、ファイトケミカルのひとつです。
加齢に負けずに健康と美貌をキープするためには、ファイトケミカルを含む食品を積極的にとり、おなかの中から年齢ケアをしましょう。
毎日の食事でファイトケミカルを多くとることで、年齢とともにリスクが高くなるがんや生活習慣病などの病気を防ぐほか、肌の老化の予防も期待することができます。
ファイトケミカルを含む食品はコレ!
では、ファイトケミカルはどのような食品に多く含まれているのでしょうか。そのヒントは“色”にあります。ファイトケミカルは、色の濃い野菜や果物に多く含まれており、赤・黄・オレンジ・緑・紫・白・黒の7色の食品を食べるとよいといわれています。調理の際は、彩りよくさまざまな食品を使うよう心がけ、ファイトケミカルをバランスよく摂取することが重要です。それでは、色ごとのファイトケミカルとそれを含む食品を見てみましょう。
「赤色」…リコピン、カプサイシン等
赤色の食品には、ビタミンEの100倍もの抗酸化作用を持ち美肌効果にも優れたリコピンや、抗酸化作用に加えて脂肪燃焼作用や体を温める効果も期待できるカプサイシンなどが含まれています。リコピンを含む食品にはトマトやニンジン、スイカなどがあります。一方、カプサイシンは、唐辛子や赤ピーマン、赤パプリカなどに含まれています。
「黄色」…ルテイン、フラボノイドなど
特に目に対して優れた効果を持つといわれるのが、黄色の色素ルテイン。紫外線やブルーライトなどは活性酸素を発生させる原因ですが、目はその影響を受けやすい臓器のひとつです。ルテインをとるには、とうもろこしやほうれん草、ブロッコリー、キャベツなどを食べるとよいでしょう。玉ねぎやほうれん草、パセリ、かんきつ類などに含まれるフラボノイドは、毛細血管を丈夫にして血流をよくするとされています。
「オレンジ」…カロテン、ゼアキサンチンなど
カロテンは体内でビタミンAに変化する性質を持つ成分です。活性酸素を除去するほか、悪玉コレステロールを減少させる働きがあります。カロテンはニンジンやかぼちゃ、モロヘイヤ、ほうれん草、柿などに含まれています。ゼアキサンチンは、クコやとうもろこしなどに含まれ白内障予防等が期待できます。
「緑」…葉緑素、スルフォラファンなど
「クロロフィル」とも呼ばれる葉緑素は、植物が光合成を行うのに欠かせない色素。抗酸化作用に加え、デトックス効果にも優れており、体内の老廃物を排出するのに役立ちます。葉緑素を含む食品には、ほうれん草やニラ、ピーマン、クロレラ、明日葉(アシタバ)などがあります。スルフォラファンは、ブロッコリーやわさびなどのアブラナ科の野菜に含まれ、特に、ブロッコリースプラウトに豊富に含まれることで知られています。悪酔いや肝臓のトラブルを防ぐ効果が期待できることで注目されています。
「紫」…アントシアニン、レスベラトロールなど
眼精疲労や視力低下を防ぐことで知られるアントシアニンは、紫色の色素です。ブルーベリーやブドウの皮、なす、黒豆などに含まれています。赤ワインやブドウの皮、アーモンドの薄皮などに含まれているレスベラトロールは、“長寿遺伝子”を活性化させるのではないかと研究が進んでいます。細胞の生まれ変わりを促すことから、美肌にもよいという説もあります。
「白」…イソチオシアネート、硫化アリルなど
根の辛味成分であるイソチオシアネートは、発がん物質の活性化を抑える強力な抗酸化作用を持っています。また、消化液の分泌を促す効果もあり、大根やブロッコリー、白菜、長ネギ、キャベツ、わさびなどに含まれています。また、玉ねぎの刺激成分として有名な硫化アリルは、血行促進や動脈硬化の予防に役立ちます。にんにく、らっきょう、ニラ、長ネギなどにも含まれていますよ。
「黒」…カテキン、クロロゲン酸など
緑茶やリンゴに含まれるカテキンは、抗酸化作用や老化予防、抗菌作用などが期待でき、美容と健康を守ってくれます。また、ごぼうやじゃがいもなどのアク、そしてコーヒー豆の香りや苦味成分であるクロロゲン酸は、美肌の維持や生活習慣病の予防に役立つという報告があります。
ファイトケミカルで年齢に負けない女性に
肌老化はもちろん、体の衰えや高まる病気のリスクなどを抑えてくれるファイトケミカル。色とりどりの野菜や果物を食べて元気な腸を保ち、ハリのある肌を維持しましょう!
渋みや苦味、アクなどが強い食品は、ファイトケミカルが豊富なあかしです。調理しにくかったり、食べにくかったりすると感じていたものが、老化予防に優れた効果を発揮してくれるかもしれませんね。今まではあまり取り入れていなかった食材も、これを機に積極的にいただきましょう。色鮮やかな食卓はそれだけで気持ちまでもが若くなりそうです。