伝統的な自然療法のひとつである東洋医学では、さまざまな視点で体のチェックを行います。なかでも重視されているのが体内をつかさどる考え方のひとつである「気(き)・血(けつ)・水(すい)」です。この3つの要素がしっかりと循環しているときには健康な状態にあり、反対に、流れが滞ってしまうと不調を引き起こすというものです。
倦怠(けんたい)感や疲労感、冷えやむくみなど、女性が悩みやすい体調の変化も、循環の低下が原因かもしれません。東洋医学から見た体調管理法に取り組んで、今まで以上に爽快な日々を送りませんか?
体を作る「気・血・水」とは?
東洋医学の基礎となったのは中国から伝わる中医学です。特に、漢方の診断に使われ、また不調の原因を探るために役立つのが「気・血・水」の視点。体はこの3つの要素から成り立っており、バランスを整えることで健康が保たれていると考えられています。
3つの動きはそれぞれつながっており、どれかが不足したり、流れが悪くなったりすることが不調の原因とされています。
それぞれに具体的な役割があり、例えば「気」は体を取り巻く生命エネルギーを表します。元気、気力といった表現があるように全身の働きに必要なものです。2つ目の「血(けつ)」は、血液のこと。3つ目の「水(すい)」は体内にある血液以外の体液を指します。特に水分の代謝や免疫にかかわる胃酸や胆汁、リンパ液、粘液などが「水」と呼ばれます。
この3つが常に循環しており、それぞれが正常に流れるのが健康な状態です。しかし、ストレスや食習慣の乱れ、運動不足などによって、その一部が滞ってしまえば、全体の流れに影響し不調を招きます。西洋医学の視点でも血液の循環が悪ければ、冷えやむくみが起こりやすいことはよく知られていること。東洋医学では症状から「気・血・水」のどこが滞っているかをチェックし、その流れを整えることで体調改善を促します。
リラックスできる入浴がめぐり改善に
「気・血・水」の流れを整えるには、全身の循環を見直すことがとても大切です。この3つはそれぞれが影響しあっており、気から血、血から水、さらに水から気へと循環され、どれが欠けても成り立ちません。車に例えると、気は全身を動かすエンジンであり、血や水は、質が問われるガソリンやオイルのようなもの。すべてが良い状態であってこそ、健康が保たれるのです。
バランスよくケアするためにおすすめなのが「入浴」です。気の流れを整えるのには「気晴らし」となるようなリラックスが必要です。好みの入浴剤を使ってゆったりとお湯につかれば疲れも癒やされます。温かいお湯に包まれて血や水のめぐりにも良い影響を与えてくれます。長時間のお風呂が好きな人は、半身浴でじんわり温まる習慣を取り入れてみるのもよいでしょう。入浴が難しい場合は、足湯を楽しんでみましょう。
流れを改善!お手軽「経絡リンパマッサージ」
全身の流れが良くなったら、今度は体内に残った不要なものを排泄(はいせつ)する力を高めましょう。毒素がたまったままだと、また循環が止まってしまうことも。そこで、取り入れてみたいのが、経絡(けいらく)を意識したリンパマッサージです。
経絡とは、気血の通り道とされる東洋医学の概念です。内臓と体の表面を結んで全身を流れており、指圧で受けるツボはその一部にあたります。そこに、西洋医学で不要物を流すとされるリンパ管の働きを重ね、経絡とリンパを同時に刺激するマッサージを行ってみましょう。
基本となるのは、心臓に向かって心地よい程度でなでるという方法です。経絡の位置を正確に理解することは難しいため、なじみ深いリンパの流れにそってマッサージします。まずは、リンパ節が多い太ももの付け根から、脇の下までを手のひら全体を使ってさすりあげてみましょう。続けて、手首から腕にかけてなであげ、同様に足首からスネ、太ももと心臓に向かうように、心地よい強さでなであげます。このとき、足の裏や手のひらまでしっかりなでるのがポイントです。たくさんのツボがある場所を刺激しましょう。ただし、食後2時間以内は避け、飲酒後は行わないようにしてください。また、疲れがひどいときや発熱中も避けましょう。マッサージのあとは水分をとり、ゆっくり休んでくださいね。
体のめぐりが良くなれば、気分も一新!
「気・血・水」がきれいに流れれば、心身ともに心地よい感覚が生まれます。血流が整うことで、肩こり改善や美肌効果も期待できるのだとか。日々の習慣で体を整えて、すがすがしい毎日を過ごしましょう。
ポイント
体のめぐりを整えて、健康的な体を作りましょう。